季節ごとに少しずつ表情を変えながら、絶え間なく色と生命感を与えてくれる庭。
それを実現する主役が、毎年芽吹き・開花を繰り返す宿根草です。
植えっぱなしでも 春の芽出しから秋の終わり、あるいはそれ以降まで花を楽しめるため、ガーデナーにとっては頼もしい存在。
伝統的な和風庭園からコテージガーデン風の植栽まで、幅広いスタイルになじみ、日本の蒸し暑い夏や地域によって厳しい冬を乗り越えられる強健種も多いのが魅力です。
花期が長い宿根草とは?
- 花期の長さ
数週間ではなく、初夏から秋、あるいは春から晩秋まで季節をまたいで咲き続けるタイプを指します。 - 宿根草と一年草の違い
地上部が枯れても根が残り、翌年また芽吹くのが宿根草。一年草は生涯を一年で終えます。 - 日本では一年草扱いになる多年草も
ペチュニアやポーチュラカなど、本来多年草でも夏の高温多湿や冬の寒さで枯れるため、毎年苗を更新するケースがあります。本稿では“日本各地で越冬でき、長く咲く本命種”を厳選しました。
全国で育てやすい!花期が長い宿根草の早見表
和名 | 学名 | 主な開花期 | 草丈 | 日照 | 耐寒性 | 耐暑性 | メモ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
アガパンサス | Agapanthus spp. | 6–8月 | 30–150 cm | 日向 | 強 | 強 | 植えっぱなしでOK |
ヘメロカリス | Hemerocallis spp. | 5–8月 | 30–100 cm | 日向〜半日陰 | 強 | 強 | 一日花だが次々咲く |
シュウメイギク | Anemone hupehensis var. japonica | 8–11月 | 50–150 cm | 明るい半日陰 | 強 | 普通 | 秋の風情、地下茎で増える |
エリゲロン | Erigeron karvinskianus | 5–11月 | 15–30 cm | 日向 | 強 | 強 | こぼれ種で増える |
宿根フロックス | Phlox spp. | 4–10月 | 15–100 cm | 日向〜半日陰 | 非常に強 | 強 | 切り戻しで返り咲き |
ルドベキア ‘アーバンサファリ’ | Rudbeckia hirta | 6–10月 | 40–80 cm | 日向〜半日陰 | 強 | 非常に強 | アースカラーが魅力 |
ネペタ ‘キャッツパジャマ’ | Nepeta × faassenii | 4–11月 | 20–50 cm | 日向〜半日陰 | 非常に強 | 中〜強 | ミント香、乾燥に強い |
ベロニカ ‘ウィザーディング’ | Veronica sp. | 6–11月 | 40–45 cm | 日向〜半日陰 | 強 | 中 | 返り咲き・耐病性 |
ガウラ | Gaura lindheimeri | 5–11月 | 30–150 cm | 日向 | 強 | 強 | 風に揺れる蝶のよう |
エキナセア | Echinacea spp. | 6–10月 | 30–120 cm | 日向 | 強 | 非常に強 | 花がら摘みで長持ち |
カラミンサ | Calamintha nepeta | 6–11月 | 30–60 cm | 日向〜半日陰 | 強 | 強 | 芳香、切り戻しで冬近くまで |
ヘリオプシス | Heliopsis helianthoides | 6–10月 | 60–150 cm | 日向 | 強 | 非常に強 | “姫ヒマワリ”とも |
宿根サルビア各種 | Salvia spp. | 品種による | 多様 | 日向 | 品種差 | 品種差 | 切り戻しで繰り返し開花 |
ホトトギス | Tricyrtis spp. | 8–11月 | 30–100 cm | 明るい日陰 | 強 | 普通 | 日陰を彩る茶花 |
フジバカマ | Eupatorium japonicum | 8–10月 | 60–150 cm | 日向〜半日陰 | 強 | 強 | アサギマダラが飛来 |
上記の表を右にスクロールした“メモ”欄に“切り戻しで返り咲き”“植えっぱなしOK”など管理のコツを記載しています。
代表的な長咲き宿根草 — 特徴と育て方のツボ
アガパンサス
- 魅力:青〜白の涼やかな花球が伸びやかな花茎に咲く。常緑・落葉いずれの品種も丈夫。
- コツ:花後に花茎ごとカット→翌年の花付き向上。肥料は春と秋に少量。
ヘメロカリス(デイリリー)
- 魅力:一日花でも蕾が多く、真夏まで連続開花。色幅豊富。
- コツ:しぼんだ花をこまめに除去。花茎が終わったら根元で切る。
シュウメイギク
- 魅力:晩夏から秋に和風情緒たっぷりの花。半日陰にも強い。
- コツ:花後に茎を整理し、地下茎で広がり過ぎたら間引く。
(※エリゲロン、宿根フロックス、ネペタ…以下同様に要点のみ抜粋)
花を切らさない庭づくりの実践ヒント
- リレー栽培で開花リズムをつなぐ
- 早咲き・中咲き・遅咲きを組み合わせ、花のバトンを渡す配置に。
- 土づくりと水はけ対策が基本
- 植え付け前に腐葉土・堆肥を混ぜ、梅雨の多湿でも根が呼吸できる土へ。
- 地域差を考慮した防暑・防寒
- 暑い地域:午後半日陰+株元マルチング。
- 寒冷地:耐寒性品種+冬の霜よけ・敷き藁。
- 切り戻し&花がら摘みで“二番花・三番花”
- ルドベキアやネペタは梅雨前に半分カット→夏越し&秋再開花。
- 病害虫の温床になる枯れ茎・枯葉はシーズン終了時に除去。
花期が長い宿根草まとめ「手間は少なく、彩りは長く」
長く咲く宿根草は、植え付けのひと手間と適切な切り戻しで、毎年庭に豊かな色彩をもたらします。
まずは手入れが簡単なアガパンサスやヘメロカリスから試し、徐々にバリエーションを増やしていけば、四季折々の変化を楽しめる自分だけのガーデンが完成します。
株が年を追うごとに充実し、景観が“育っていく”過程もまた醍醐味。
ぜひ、ご自宅の庭環境に合わせて“長咲き宿根草”を取り入れ、年間を通じて花のある暮らしを楽しんでみてください。